『パラサイト』アカデミー作品賞受賞を受けて日本映画について

今回は、『パラサイト』が、アカデミー作品賞を受賞したことを受けて、日本映画について簡単に、述べようと思います。

映画『パラサイト』が第92回アカデミー作品賞を受賞

まず、ポン・ジュノ監督の映画『パラサイト』が第92回アカデミー作品賞を受賞したことは、ほんとうにすごいと思います。

まだ筆者は、『パラサイト-半地下の家族-』を観ていませんが、最近の韓国映画は、しっかりと世界で戦えるもしくは世界に向けて対外的に熱量を注いで映画を作っていますよね。

合作ではないアジアの単独作品が、オスカーの頂点に立ったのは、史上初のことであり、今回作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞(旧:外国語映画賞)の最多4部門での受賞となりました。

韓国映画が、しっかりと作品を作っているなと感じたのは、今回のポン・ジュノ監督とまたことなるチャン・フン監督の映画『タクシー運転手-約束は海を越えて-』の映画を観たときに思いました。

しっかりと脚本と俳優さんたちの演技が高いレヴェルで表現できていて、つい見入ってしまうような構成と展開でした。

『パラサイト-半地下の家族-』もこれから観に行く予定なので楽しみです。

日本映画について

今回隣国である韓国の作品が、アカデミー賞を受賞したことで、今後の日本映画も刺激を受けて少し変わっていくことでしょう。

もともと、日本は、ドメスティック(国内向けの作品が多く)に内側に注力する傾向が強いと思います。

それは何も映画界だけではなく、携帯電話のガラパゴス化や、LINEといった企業のモデルも基本的には、日本国内での事業(アジアで何か国かシェアのトップを取っていますが)で完結しています。

それが良いか悪いかは別として。

基本的には、国内に向けたサービスで満足というか、それ以上は手を広げないといったような傾向があります。

映画の収益構造

また、もともと映画の収益構造として、実は、映画の作品自体(内容)がそれほど面白くなくても、宣伝をバンバン打つことで観客を動員してしまえば、実は映画が実際にそれほど良くてもよいという事実があります。

なぜなら、チケットを買った時点で、収益としては発生しているからです。

(もちろん映画の作品自体が良ければ、リピーターや口コミの評判でさらに観客動員が増えることはあります。)

しかし、予告やキャストの段階で、一回だけ映画を観るという客層に向けたアプローチとしては、宣伝を流すことで観客を動員して収益を得る構造は経済的には合理的であるといえます。

日本映画の作品のキャスト(俳優陣)

これは、日本映画が上記のようにドメスティック向けに造られている傾向があるため、出演するキャストには、一定のパターンというかけっこう同じ俳優さんや事務所で構成された映画がほとんどです。

これは、俳優にファンがついているため、一定の収益を見込めるために起こる現象です。

そのため、なんだか監督が違っていても、同じようなある種の傾向の中に収束していく感じが傍からみていても感じてしまいます。

映画『カメラを止めるな!』

映画自体が面白ければ広まっていく力は、10年前より現在の方がSNSの力ではるかに強いといえます。

口コミの評判は、現在けっこう重要な要素となっていますよね。

2017年に公開された映画『カメラを止めるな!』などがその最たる例だと思います。

有名な俳優さんが出ていなくても、映画の作品自体の力で周りに普及していった様子はかなり印象に残っています。ただ、『カメラを止めるな!』もどちらかというとドメスティック(国内)向けに作られているという域をでないような気がしています。

日本のアニメは世界でも評判がいい。

日本の映画のなかで、世界で認められているのは、アニメの分野ではないでしょうか。

ただ、アニメが世界に向けて作られているかという問いに対しては、おそらくNoだと言えます。

日本向けに作られた独特の文化が世界からみたときにも、「あれ、日本のアニメなんかおもしろいじゃん」といったような感じで、一定の層に刺さるものがあるのでしょう。

ガラパゴス化と少し似たような進化の感じだと思います。(独自に進化したものを外からみてみると、面白いといったように。)

これは、今回アカデミー作品賞を受賞した『パラサイト』の評価の仕方と異なるものだと思います。

韓国アイドルの海外での成功

韓国が世界に向けての発信がうまいのがよく分かる例が韓国のアイドルグループの戦略です。

韓国のアイドルグループBTS(防弾少年団)が、世界で人気なのをみると分かるように世界に向けて作品や楽曲をつくる技術というのは、今のところ日本よりも韓国の方がうまくいっている印象を受けます。

なので、日本の映画界がこのアカデミー作品賞を韓国映画が受賞したことで、どう変わっていくかは、少し楽しみですよね。

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