今回は、人がなぜ死を恐れるのか。について見ていきたいと思います。それには、「時間」という概念が関わってきます。
どうして、人は生きるにはあまりに時間が短いと感じるのでしょうか。
そして、「時間と空間」の2つの違いについてもみていきたいと思います。
- 時間と空間の違いについて知りたい方
- 日常に疑問を持つ(持てる)方
- なぜ時間は足りない(一方で空間は充足している)と感じるのか知りたい方
ミーコ(6)
人はなぜ死を恐れるか
結論からいうと、人はなぜ死を恐れるのかというと、「時間」という概念が人間には存在するからです。
人は、時間(未来)を永続的に進んでいくものであると捉えています。
そして、その時間の無限性を前にすると、人間の人生の時間は短いと感じてしまうのです。(これは人間が100年生きようが、仮に寿命が1000年だったとしても、人間はこの時間の無限性の前にしては短いとおそらく感じて詩や歌などを同じように残すと思います。)
そして、この時間の長さを前に人は空虚や恐れを抱くのです。
実は、同じ無限性といった意味では、この世の「空間」もまた無限性があります。
宇宙の広さに対して、宇宙のなかの一粒の地球の中でしか生活していない私たちですが、この「空間」の無限性を前にしても私たちは、あまり恐怖を感じません。(一部の自閉症の方のなかには、こうした空間の虚無さを感じる方がいます。「時間」に対する無限性を前に恐れる私たちの感情とそれはほとんど差異がないといっていいのではないでしょうか。)
人間は、「空間」に関してはこのごく一部分でしかない環境ですが充足しているのでしょう。
では、「時間」と「空間」の差異について少し深堀して、2つの違いを見ていきます。
1つ目:人は「空間」の変化に比べて「時間」の変化を捉えにくい。
1つ目は、人は「空間」の変化に比べて「時間」の変化を捉えにくいtことがあげられます。
あなたは、「時間」と聞いてどちらをイメージするでしょうか。
①まっすぐ直線的なイメージ
②円のように循環しているイメージ
どちらも幾何学的な「時間」に対するイメージですが、捉え方次第でどちらとも捉えらるものです。(例えば、宗教でもこの「時間」に対する捉え方が異なってきます。)また、この上記の二つ以外の形をイメージした方がいたら、どのような形をイメージされたかを、ぜひ教えてほしいです。(コメントでも、Twitterでも構いません。)
このように漠然とした「時間」に対するイメージのように、実は人は「時間」のように漫然と(だんだんと次第に)変化していくものを捉えるのが、非常に苦手であります。(ひとが「時計」という道具をつかっているのも、本来苦手なこのような変化を察知することためです。)。これは、以下の例で考えると分かりやすいです。
例えば、あなたの家に来る鳥(ハト)の数が次第に減っていっているとします。しかし、あなたはだんだんとその現象起こっていく(ハトが減っていく)ので、ある日庭に来る最後のハトがいなくなっても、気づかないかもしれません。
なぜなら、昨日または数日前と比べてみると2,3羽減った変化が少なく感じるからです。漫然とハトが減っているので、ハトが減ったことを認識できない可能性があります。
これは、ハトが大勢来ていたときと比べると、劇的に今の状況は変わっているのに、昨日や数日前と比べるとそんなに変わっていないと感じてしまうのです。
これは人間が漫然とした変化には、気づきにくいと言えます。
もっと身近な例をあげると、この間カフェで隣のおばさま達が「消費税が8%から10%に上がっても、2%しか上がっていないから、あまり上がったと感じないわ」と話していました。(消費税があるのとないのでは10%という劇的な変化が起こっているのにも関わらず(笑))
こ行政側が人間の心理(漫然とした変化には鈍感である)を利用しているとも捉えることができます。
少し話が逸れましたが、人間は「時間」のような次第に変化をするものを捉えることは苦手です。
これに比べて、「空間」が変化したことについては、人ははっきりと捉えることがえきると思います。(例えば、温泉のサウナから冷たい氷の上に移動したなど)
2つ目:AからBにうつったときに「時間」は戻れないが、「空間」は戻れる。
2つ目は、端的にいうと、「時間」の不可逆性と「空間」の可逆性の差異(違い)である。
たとえば、A(昨日)→B(今日)と移り変わったときにB(今日)からA(昨日)に戻ることはできない。
ただ、A(日本)→B(アメリカ)と移ったときには、B(アメリカ)→A(日本)には戻ることができる。
これは、「時間」と「空間」の大きな違いであり、人間が死を恐れることに繋がる要素であろう。
(参考文献:真木悠介『時間の比較社会学』2003年,岩波書店)
下記の本の中では他にも世界の種族がどのように「時間」を捉えているかを紹介している著書なので、興味がある方はぜひ。
最後まで読んでくださった方ありがとうございました。