いまや世界的にも漫画は日本の文化として認められています。
今回は、なぜ漫画が白黒なのかを2つの理由と背景で紹介していきます。
この記事は『人は見た目が9割』(新潮新書,2005年)を参考にしています。
1つ目:コスト面
漫画の起源は調べると意外に諸説あり、特定できません。
しかし漫画は昭和20年代に雑誌に掲載される形で大衆の人々に向けて大量に発行されていました。
これらの時代に大量に印刷する必要があったので、そのときコストを低くすることで、大量に印刷することができる白黒という手法を取ったのです。
アメリカやヨーロッパにもこうした白黒の印刷技術(コストとしても白黒の方が安いのですが)はありますが、なぜ海外の漫画はカラーで印刷されることが多いのでしょうか。
そこには文化的な背景がひそんでいると考えられます。
2つ目:日本には水墨画の文化があったこと
2つ目に白黒の漫画が流通する土壌として、日本人は水墨画に馴染みがあったというような背景があると考えられます。
これは、漫画が流行っている国も韓国と台湾がありこれらの国にはもともと墨画が存在していました。
これに対してヨーロッパやアメリカでは絵画の分野でもスケッチなどの白黒の表現よりも陰影を濃く描いた色付きの絵画が好まれているという文化的な背景があり白黒に馴染みがなく好まない理由の一つとして考えられます。
漫画が白黒であることでもたらされる「省略の美」
これは、漫画はしばしば省略的に描かれているコマがあると思います。(筆者の好きな「ハンター×ハンター」などは省略されるべきところは大胆に省略されたりしています。)
これは漫画を読んでいる上で読む流れをつくっていると思います。
カラーの原稿を読むと何か情報が多くなり漫画の「流れ」が滞っているように感じることがあります。
コテコテと情報が入っていて漫画の良さが消えてしまっているような気がします。
漫画が白黒になったのは主にコスト面からだとは思いますが、それによりこのような「省略の美」のような結果に繋がることはおもしろいことだと思います。
『人は見た目が9割』(新潮新書,2005年) が気になった方はぜひ手に取ってみてください。
僕も昔読んで「へぇ。こんな考え方があるんだ」と学んだ記憶があります。
いまは漫画版もあるみたいです。(もしよければどうぞ。)
最後まで読んでくださった方ありがとうございました。