学生のときに建築家が書いた本や文章を読むことがあったが、なぜか建築家の書いた文章に(他の書物の文章と比べて)一定の読みにくさを覚えた。
ここでは、なぜ建築家の書いた文章が読みにくいのかについて3つの仮説に基づいて考えていこうと思う。
- 建築家の本をよく読む人
- なぜ?と日常の問題に疑問を持って考える方
- 建築に興味がある方
ミーコ(6)
また全ての建築家の文章が読みにくいと言っているわけではない点を誤解を招きそうなのではじめに書かせていただく。
建築家の文章はなぜ読みにくいものが多いのか。/3つの仮説
なぜ、建築家の文章が読みづらいのか仮説を3つあげて、以下にみていく。
- 建築家が使う用紙にはいろいろなものが混じっている
- 個別のケースを取り上げる
- 空間を言葉で表現する(伝える)ことが難しい
以下1つひとつみていく。
仮説①:建築家が使う用紙にはいろいろなものが混じっている
1つ目の理由は、建築家の使う用紙にはいろいろなものが混ざっていることが要因と考えられる。
もう少し具体的にいうと、1つの建物を設計するのに建築家は、仕様書やパースそして設計図といういろいろな表現手法を使った用紙を使って建物をプレゼンする。
ネルソン・グットマン著『芸術の言語』(慶応義塾大学出版会,2017年)の建築に関する記述を下記に引用する。
面白いことに、建築家が使う用紙には、いろいろなものが混ざっている。仕様書は、通常の談話的言語と数学言語で書かれている。建物の最終的な外観を伝えるために作られた完成予想図は、スケッチである。では、設計図はどうか。
設計図は、連続的な変化量を許容する線と角からなる図面である。(中略)正確な縮尺で丁寧に図面を引くのは、単に便利さと上品さを示すだけにすぎない。
ネルソン・グットマン著『芸術の言語』(慶応義塾大学出版会,2017年,247頁)
まさに今回の仮説の1つ目は、グットマンのこの引用部分に着想を得ている。
魅力的な写真やパースのが時として雄弁に語る。
建築を表現するときに、完成した魅力的な写真(マネーショットと呼ばれるような写真)や1枚のパースの方が時として、建築家が書いた文章よりも雄弁に語るときがある。
建築家が書く文章よりも、挿絵として本や雑誌に挿入されている写真や絵の方が、その建物の様子や雰囲気を伝えることができているときがあります。
そのため、建築家が書いた文章よりもこれらの写真やパースを先に見ることが多いです。
俯瞰した図やパースはときに、本来人が見ることのできない図であることがある。
これは、3つ目の仮定の空間を言葉で表現する(伝える)ことが難しいことに繋がる部分でありますが、俯瞰した図やパースなど本来人が見ることができない図が使われることもあります。
こうした図を用いたプレゼンテーションはうまい。
建築家はこれらのさまざま表現技法を使って作品のプレゼンテーションをするわけだが、プレゼンテーションは非常にうまい人が多い。
(プレゼンテーションがうまくないとコンペなどで勝ち残れないため)
これらの図を用いたりして、さまざまな角度から相手に作品の良さを伝えるため、相手に伝える能力は高い人が多い。
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仮説②:個別のケースを取り上げる
体系化されていないことがある。
建築家の書く文章は一定の視座から話すのではなく、個別のケースを取り上げて取り扱うパターンも目立つ。
そして、その多くは散文的になりがちであり体系化されていないものも見受けられる。
日常的な感覚を拡張する論理にひずみが生じていて、引っかかって頭に入ってこないこともある。ただ、以下の仮説③にみるように、そもそも空間を言葉で伝えることの難しさ(制約)があるのももちろん要因の一つであろう。
仮説③:空間を言葉で表現する(伝える)ことが難しい
なぜ建築家の文章は読みにくいのかの仮説の3つ目はそもそも空間を言語化することは難しいことがあげられると思う。
空間を相手に言語で説明しようとすると、難しい。それよりかは、写真や模型そしてパースなどを使って説明する方が、雰囲気などが伝わるだろう。
空間の材質などもその建物内にいる人や見た目的にも大きな役割を果たしている。
人は、そもそも空間には充足している。
そして、人は空間に対しては、日頃部屋で過ごすような長方形の空間で充足しているように思える。
筆者は建築学科出身で日本各地の建築を見て回ったが、この空間は素晴らしいといったような感情を抱いたことがない。もちろん空間が開放的だとた感じたことはあるが、この空間がすばらしいというものに出会ったことがまだない。
時間と空間についての記事はコチラ↓
【人はなぜ死を恐れるか!?】/「時間」と「空間」の2つの差異(違い)まとめ
以下にこれまでみてきた仮説の3つを簡単にまとめる。
- 建築家が使う用紙にはいろいろなものが混じっている
- 個別のケースを取り上げる
- 空間を言葉で表現する(伝える)ことが難しい
以上建築家の文章が読みにくい理由について仮説を立てて考えてみました。
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堀江貴文(ホリエモン)さんが言う【文字(文章)が読めない人】の2つの特徴。最後まで読んでくださった方ありがとうございました。